ドル/円相場は、101円台後半まで値位置を切り上げる展開になっている。4月上旬から1ヶ月以上にわたって90円台後半でのボック相場を形成し、100円の節目をブレイクできない展開が続いてきた。しかし、日本のゴールデンウィーク明け後は主にドルサイド主導でドル高・円安を一段と押し進める動きが強まり、約4年ぶりの円安水準を更新している。
総じて良好なリスク投資環境を背景に高利回りの資産に対する需要が膨らむ中、安全資産としての米国債に対しては売り圧力が強くなっている。10年債利回りは一時6週間ぶりの高水準に達しており、ドル/円相場が100円の節目をブレイクする原動力の一つになっている。世界の中央銀行が改めて追加緩和対応を迫られる中、米連邦準備制度理事会(FRB)に関しても資産購入プログラムの「減速」のみならず「加速」の可能性が指摘されている。ただ、マーケットは米国の金融緩和政策は既にピークを脱したとの見方に強く固執しており、特に米国の量的緩和政策が長期化するようなリスクは織り込まれていない。このまま米金利が一本調子に上昇するかは疑問視しているが、ドルが買われ易い地合にあるのは間違いない。
一方、円サイドでは特に目立った材料が見当たらない。既に日本銀行サイドの円売り材料は出尽くしたとの見方もあるが、このまま着実に資産購入プログラムが実施されれば、ドル高・円安トレンドが修正を迫られることはないだろう。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも、円安批判の議論は盛り上がらず、円安傾向にブレーキが掛かる理由は見当たらない。100円台での値固めから緩やかなペースで一段高を試す方向になるだろう。米金利低下が目先の調整リスクになる。
今後1週間の予想レンジは、100.00~103.50円。